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	<title>気ままにサングリア</title>
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	<modified>2007-02-08T23:12:12+00:00</modified>
	<tagline><![CDATA[ヲタテキスト収録]]></tagline>
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		<title>【恋35-24】　傍にいたい　1</title>
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		<issued>2006-01-20T21:52:44+09:00</issued>
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		<summary>※ 短編。書き散らした破片。【恋35-25】の対極、どちらかというと陽性。*****　その日理由もなく呼び出された私は普段ありえない性急さに少なからず驚き、数日前から煮込み続けたポトフの火を落として、いつもよ...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>鋼の錬金術師 &gt; 【恋35-24】　傍にいたい</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[※ 短編。書き散らした破片。【恋35-25】の対極、どちらかというと陽性。<br />
*****<br />
<br />
<br />
<br />
　その日理由もなく呼び出された私は普段ありえない性急さに少なからず驚き、数日前から煮込み続けたポトフの火を落として、いつもより多めにしかし手早く髪を梳いた。行ってくるわねと愛犬の頭を数回撫でる。彼は待つことが嫌いなので、急がなければならない。一度機嫌を損ねると、意外に長く根に持つタイプなのだ。<br />
　しかし息せき切って辿り着いて見れば、夜もすがら薄い色をかろうじて保つ蛍光灯の下、無骨なロングコートのポケットに無造作に手を突っ込んだ彼は、トレードマークの黒髪ごと闇に溶け込んでよく見えない。目をこらしてようやくその輪郭を認め、声をかけようとして一瞬足が止まった。<br />
　風が吹いたのだった。梳いた髪が前に上にと躍り上がり、私は立ち止まってそれをやり過ごした。と、バサリと薄っぺらい音に耳を傾げ埃をおさえて目を開けると、せせこましく背を丸める黒い影。どこからともなく飛んできた新聞紙が彼の足にまとわりつき、あたふたと剥がしているうちに今度はそれがめくりあがって顔からまともにかぶってしまって、平素格好つけた気障（きざ）男とは思えぬ身振りで慌てている。<br />
　私はひどく可笑しくなった。そしてなんでこんなに意味もなく可笑しいのだろうと考えた。少し考えてああと思った。今夜の彼はどこか違うのだった。<br />
　十中八九そこだと思った。手が、違うのだ。<br />
　自在に焔を操る白手袋に包まれたのとは違う彼の肌色の手に見入った。わしゃりと紙を掴むそれは妙に肉厚で、親指の根本がぷにりと膨らんでいる。やっとこ新聞を剥がすと、風呂上りの子供みたいに両手で丸い顔をごしごしこする。丸い顔と丸い手の同じ種類の同じ厚み。<br />
　温かそうな手を持つ、背中に独特の角度がある上官でない彼を、もっと近くで見てみたくなった。私は拳を噛んで含み笑いを飲み込み、近寄っていく。<br />
「大佐」<br />
　振り向いた彼は己の焦燥を取り繕う暇もなく、あ、と開きかけた口を押さえて黙り込んだ。<br />
「……見たのか？」<br />
「はい、しっかりと」<br />
　いつものおかえしとばかり、骨身に十分染みこむように、重きを置いて言葉を綴った。彼はしまったと言わんばかりの顔で口元を押さえている。<br />
　こらえようのない袋小路に堕ちた瞬間。片想いが突然、恋に変わった瞬間。<br />
<div align="right"><br />
（2005/06/22）</div><br />
<br />
<br />
<br />
　――そんな疑わしい目をしないでまあ聞いて、これ一発でなんでも消せる、とにかくスゴイ消化剤なんだから、こないだのサン・ルイ通りの肉屋の火事、あれだって小火（ぼや）で済んだのは、あそこの親父がうちとこのこれを持っていたからですし、寝煙草を布団に落としてのじくじく燃焼だってこれで一発！　なんとか山の狸さんの背中だってこれさえありゃ、――<br />
　<br />
　記憶を作り上げたのではないかと心配になるほど饒舌多弁なこの男、罪もない顔で我が家の戸を叩いて三十分、玄関先に座り込んだまま一向に立ち去る気配をみせない。不在がちな家主にたまたま行き当たった幸運な押し売りは噛み付き加減も上々で、こちらが半ば辟易しているのをものともせず、ここぞとばかりあれやこれやまくしあげている。しかもどうやら多弁だけでなくよう陽発独演型でもあるよう、熱が入るに従って身振り手振りが少しずつ大袈裟になって、しまいにはさすがの私も玄関のドアを閉めたくなるほど恥ずかしい様相だった。<br />
　ですからねえ奥さん、と繰返し男。私は内心首をひねる。花もレースもなにもない、色の失せた玄関を見て、どこぞの男君が通ってると思えるならまあそれでも構わないけど。<br />
　しかしそんな私が珍しく追い払うこともしないで（追い払うのはいつでもできるけど）一緒に座り込み延々と話に聞き入ってしまうのには理由があったのだ。<br />
　<br />
　――いやいや奥さん驚きなさんな、なにを隠そうこれはかの有名な焔の錬金術師殿から技術提携いただいた新しい消火剤なんです、んーその顔はもしかして焔の錬金術師をご存知ない？　それは奥さんもう人生最大の損失と言っても過言じゃありません、眉目秀麗、威風凛凛、なみいる女性をばっさばっさと切って捨てるところなんてまさに英雄色を好むっつうか徒（あだ）な黒雫（くろしずく）って風情、天はニ物をあたえずなんてありゃ嘘で……おっとこりゃ失敬話がずれましたな、ですからこの新型消火剤その名も速攻消火マスタング！――<br />
　<br />
　可哀想に、彼は速攻消火されてしまうらしい。いや待て違うわ消火する側かと。それはそれでどちらでもいい見ものかなと私は首をすくめる。<br />
　とまれ、まさか己の上司が話題にのぼるとは驚天動地というほどじゃないにしても、まあひとつのネタではあるなと私、人生時に面白く捨てたもんじゃないと膝をついた。<br />
「これ買ったら、なにか特典とかつけてもらえたりするの？」<br />
　言われて問われてうっふっふと男、苦労症らしい狭い額をごしごし拭い、<br />
「そりゃもう奥さん言わずもがな今月はお客様感謝祭開催中ですから！　今でしたらもれなくもう一箱、おまけに箱の裏蓋についてる応募券をお送りいただきますと、先着十名様を稀代の英雄マスタング ディナーショーへご招待！」<br />
　なんだそりゃという気持ち半分、そしてまずい、面白すぎると苦笑半分。<br />
　だがありえないと理解しているそのわずかな隙間で、人の心とりわけ女性の胸奥にしっかり爪を立てる手練手管（てれんてくだ）を心得た英雄ロイ・マスタングは、離れた壁の片隅にいる私という女をちゃんと見つけてくれるだろうか、人々の摩擦に下唇を横に引っ張りながら、そこにいたかと手を差し伸べてくれまいか、と。いつにもありえない不可思議なメランコリーにとらわれた自分に、腹の底から熱が上ってくるのだった。<br />
「いいでしょう、ほらあ旦那さん置いてすっとんで行きたくなっちゃうから！」<br />
　文字通りすっとんで行ったのだ。まったく恥ずかしいところを見られたな、と笑う彼に、私は結局なぜ呼び出されたかという疑問を投げることはできなかった。むしろこのうやむやのままにはしる、しょんぼりとした緊張感がたまらなく心地よくて、並んで歩きながらわざと指先だけをかすめる悪戯事を仕掛けてみたりもした。あえなく目論見は外れたけれど、あわよくば彼の手が私の手をすくい取ってくれますようにと込めた祈りを忘れることはできない。<br />
「……あら、うちの人だってたいしたものよ？」<br />
　口から出まかせ、とはよく言ったもので。はっと気がつくと、おやおや御馳走様でございますねぇと頬肉に歯をうずめて笑う男。<br />
　私の中でなにかが変節してきている。多分、あの夜の彼を見てから。<br />
　今この場に彼がいたらさぞかし楽しかろうに、と温かい溜息を吐きながら、私はこれもらうわ、と広げられた包みのひとつに手を伸ばした。<br />
<div align="right"><br />
（2005/07/13）</div>]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>雪短編　1</title>
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		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid43.html</id>
		<issued>2005-12-29T10:00:33+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>※ほんのりと 【恋35-23】　こっち向いて　連作*****　雪の日は大忙しだ。買い出しを済ませ、家の回りを軽く雪掻きしてしばらく、こわごわ背筋を伸ばすと腰がギクリと泣きそうだった。申し訳ないが頼む、と先に家...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>鋼の錬金術師 &gt; 雪短編</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[※ほんのりと <a href="http://hoge.wildtaube.com/_text/sb.cgi?cid=26">【恋35-23】　こっち向いて</a>　連作<br />
*****<br />
<br />
<br />
　雪の日は大忙しだ。買い出しを済ませ、家の回りを軽く雪掻きしてしばらく、こわごわ背筋を伸ばすと腰がギクリと泣きそうだった。申し訳ないが頼む、と先に家に戻った。ひとつ敬礼、任せて下さいと儀礼的な姿はいたく四角張って、丸い動線はこれっぽっちもない。そのまま彼女は雪を掻き続け、しばらくすると、手袋の中指を引っ張って無理矢理脱いだ。ささくれでも一緒に攣（つ）れたのか、すぽんと脱いだ瞬間小顔が小さくしかまった。<br />
「何なら貸そうか、私の手袋」<br />
「結構です」<br />
　引っかかる余地もない。なんだ、と口をすぼめた。<br />
「そんなこと言ってる暇があったら、ブラックハヤテ号にご飯をあげてやってください」<br />
　スコップを持って、憮然と女。言って、続けざまに二、三雪を掻く。<br />
　私は言われたまま腹を空かせた黒犬に餌をやり、彼が椀の縁まできれいに舐めてしまうのを見届けてから、本を片手にソファに陣取った。だが、なんとなく気温の下がってきた部屋は空気が締まって、だだっ広く寒々しい。<br />
　外では続く、ざくざくと音。久方ぶりに目にする、バレッタでまとめられた髪。後れ毛を数本残し、彼女は毛糸のマフラーに顎を埋めていた。思い出したように、時折まんべんなく息を手に吹きかけては、一時の暖をありがたむ立ち姿。飾り気のない落ちついた横顔からはすっかり血の気が失せていて、にわかに上着をはたくと空を見上げ、雪の火屑を頭に散らしたまま赤い耳をこすっている。<br />
　あたりまえのことだが、寒そうだなと思う。そこまで根を詰める理由もあるまいに。<br />
　私はストーブの栓を捻ってケトルを乗せた。浴槽を湯で満たしながら片手で温度を確かめ、もう一方でバスタオルを引っ張り出して、ぱしりと広げる。<br />
「もうそのくらいでいいだろう、ほら」<br />
　テラスから身を乗り出して、ひらひらとそれを振った。本人もそろそろ限界だと感じていたのであろう、素直に壁にスコップを立てかけ、たたきを蹴って玄関に立った。合わせて私、ずぶ濡れた金髪にタオルを落とし、わしゃりと撫でて耳朶を包む。<br />
「手、温かいです」<br />
「さっきまで湯をいじってたからな」<br />
「湯?」<br />
　感覚を戻すことに気を取られっぱなしの彼女にひとつ苦笑し、<br />
「風呂だ、風呂」<br />
　ああ、と無表情のまま目だけをしばたたかせた。固まったままの彼女の髪を梳き、そのまま浴室へ導いてドアを閉める。途切れがちに水音を立てて、いつもよりはるかに長く閉じこもった彼女は、出てきたとき一皮剥けて真っ赤な顔をしていた。<br />
「温まったか?」<br />
「蘇生した気分です」<br />
　全身からほかほかと湯気を立て、まさに今オーブンから出てきましたといった感じだ。<br />
「それはよかった」<br />
「あの」<br />
　しかし何か言い辛そうに、酸っぱい彼女。風呂上りの水気、特に女性のそれは、とても磁場が強く、凍えた表情はだいぶ解けて。<br />
「なんだね?」<br />
　その、と差し出す手。<br />
「バレッタ、返してください」<br />
　やっと気付いたか。<br />
「返してやってもいいが」<br />
　私はトントンと横を叩く。たまには、そういう戯れも悪くない。<br />
　考えるほどのこともなかろうに、直立不動のまま黙った彼女。しばし悩んで、失礼します、と私の脇に沈んで膝を合わせ、大層俯（うつむ）いた。と同時にポケットに侵入する指、ぎゅと引っ張られる手首。<br />
「……約束ですよ」<br />
　おやおやと私。意外にも真っ赤な頬に真っ赤な耳。部下然を常とする彼女にしてみれば、己の暴挙に顔を合わせる余裕もないらしい。<br />
　返そうか、返すまいか。<br />
　濡れた語尾が淡くかすれて、幾分心もとない雰囲気のままたどたどしく喉の奥に消えていくさまは、軍務について長くすれっからした女性とは到底色を異ならせるものだった。]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>雪短編　2</title>
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		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid44.html</id>
		<issued>2005-12-28T19:29:51+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>※ほんのりと 【恋35-23】　こっち向いて　連作*****　褒め言葉の尽きた馬鹿な上司が言うに事欠いて、さすがに英雄色を好むとは君にふさわしい言葉だねマスタング君、我慢できなくてとうとう手近で済ませたのかね...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>鋼の錬金術師 &gt; 雪短編</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[※ほんのりと <a href="http://hoge.wildtaube.com/_text/sb.cgi?cid=26">【恋35-23】　こっち向いて</a>　連作<br />
*****<br />
<br />
<br />
　褒め言葉の尽きた馬鹿な上司が言うに事欠いて、さすがに英雄色を好むとは君にふさわしい言葉だねマスタング君、我慢できなくてとうとう手近で済ませたのかね、などと言ってのけた。たまにそういう楽しい噂を耳にしますがさてどうでしょうと笑ってやった私、あからさまに憮然としたまま。パーティー会場を出て、階下に待つ彼女へひとつ頷く。雛のように小さな頭が頷き返す。彼女はすぐ真上でそんなやりとりがあったことなど、つゆほども知らない。<br />
「待たせたな」<br />
　いえ、と敬礼。いつもどおりの線のとおった姿は、雪に埋もれてはらはらと白い。<br />
「だいぶ雪、積もりましたね」<br />
　軍靴が雪を滑る、さくさくと音が耳に涼しくて、私は上気した胸一杯に冷気を吸い込むと、思いきり大きなひと息をついた。<br />
「寒くないのか?」<br />
　足元にだけ集中し、前を見る。<br />
「はい、大丈夫です」<br />
　後ろを向くと、彼女は凍えた頬を微かに緩める。<br />
「脇にこないか?」<br />
「いいえ、今は」<br />
「誰もいないが?」<br />
「存じてます」<br />
　軍服の間はいくら言おうとも、彼女は頑なに横に並ぶのを拒否した。<br />
<br />
　だけどもう、私たちには焦る必要はない。<br />
　恋人時代は無しですか、と照れ隠しに笑い崩れた彼女へ、私はあの日答えの代わりに思う存分キスを降らせた。言葉は便利だけれど、喋りすぎると効力が薄れてしまう嫌いもあるから、ただただそうして気持ちの取りこぼしを埋めていくにまかせようと思ったのだ。<br />
　行動。接触。触覚。互認――容認。水を弾く柔らかな肌。飾り気のない、短い爪の先。彼女はもう、間違いなく私のものなのだ。誰になんと言われようと、いまや彼女の所有権は私にあって、私の所有権は彼女が持っている。互いの言葉に、声色に、匂いに、視線に、誰よりも馴染み深い感覚を取り交わしている。<br />
　さく、さく、さく、さく。<br />
　水気に乏しい雪の壊れる音。<br />
「今夜は」<br />
「はい」<br />
　さく、さく、さく、さく。<br />
　時々重なる、軽いゴムの音。それに半歩ずらして、私は足をわざと遅れさせる。<br />
「……随分寒いな」<br />
「そうですね」<br />
　さく、さく、さく、さく。<br />
　鼻先を埃の混じった水気が抜けていった。そうして頃合いを見計らい、<br />
「おいで」<br />
　手を後ろへ差し出すと、彼女の位置はちょうどあと半歩。<br />
「……失礼します」<br />
　重ねられる手。そっと引いて、はあと息を吹きかけると、固唾をのんで見守る彼女の頬はあっという間に紅潮する。<br />
　私たちはまだ、こういう営みに慣れてない。たまには悪くないな、そう呟くと、はにかんだ声が耳をこすった。<br />
　――とても、温かいです。<br />
　ときめきとか初恋とかがどういうものだったかは、とうの昔に忘れてしまった。<br />
　ただ今は、し残した恋愛を思い出したみたいに、高い音を立てる私の胸は。<br />
　冷えきった手を強く握った。手近で手を打っただなんて冗談じゃない。そんな陳腐な言葉で括ってもらいたくない。こうして落ちつくべきところへ落ちつくまでに、どれだけ時間と手間と、感情の変遷があったと思ってるんだ。<br />
　もう少し、このままで。そう彼女が恥ずかしそうに顔を隠すから。<br />
　玄関へ入ってたたきを蹴って、泥はねを落として雪を払って、正面向いて向き合って。二人の空間へ入ってやっと、彼女が私のアイマスクを外す。犬がやってくる爪の音がする。電気を点けず薄暗いまま。<br />
　見えない方が。そうしてこれまた意図したような不思議なタイミングでもって、やっと私たちはお互いの体へ腕をまわすのだった。]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>雪短編　3</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid50.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid50.html</id>
		<issued>2005-12-27T16:37:32+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>※ほんのりと 【恋35-23】　こっち向いて　連作*****　独り身の生活を何年も続けた末、身を揉むほどの苦しい事情にやむなく膝を折った私は、ある日気がつくと、身近にいたひとりの女と暮らし始めていた。金縁の華...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>鋼の錬金術師 &gt; 雪短編</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[※ほんのりと <a href="http://hoge.wildtaube.com/_text/sb.cgi?cid=26">【恋35-23】　こっち向いて</a>　連作<br />
*****<br />
<br />
<br />
　独り身の生活を何年も続けた末、身を揉むほどの苦しい事情にやむなく膝を折った私は、ある日気がつくと、身近にいたひとりの女と暮らし始めていた。金縁の華美なディナーセットではなく、重ねることのできる普段使いのスープボウルを選ぶその女は、共に戦い倦（う）んだ四季を過ごしてきた、私の一番近しい部下でもあった。<br />
　だから、と理由づけるのもおかしな話だが、女は同棲というどこか後ろめたいかげりをものともせず、あたかも世界中のすべてが私の敵となったところで、女だけは必ず傍らにいるだろうといったふうに、自ら座りのよい場所を私の横に設けて、破綻のない静かな生活をひとめずつ丁寧に編みこんでいった。<br />
　そんな女の美しい耳の形に、女の凛とした背筋に、生きるための手入れを怠り続けた三十男がほだされないわけがない。私は、ただひっそりと座っているだけの女の顔に落ちついた影の深さを見出し、私にしてはいささか長い時間をかけて、人間らしく生きるための重心を女の隣に据えつけることに成功した。長らく活用していなかった帰巣本能が、己の寄る辺はここだ、と決定づけたわけだ。<br />
<br />
　かっちり留めた髪を下ろした女が、飴玉を余分に買っては、飼い犬目当てに遊びにくる子供たちに配ってやったりしているのを知ったのは、当の本人から懐妊を告げられる数秒前のことだった。普段そう甘いものを好まない女が、買い物にいくたびやたらと菓子を購入することに珍妙な違和感を感じていたので、なんの気なしに問うてみたのだ。<br />
　しかしその問いに対する答えに、おまけとでもいう感じでつけ加えられた告白は、生活圏に赴く『ついで』にしては幾分硬めの圧力をもって耳に止まった。<br />
「はい、ここしばらく体調が悪かったので、昨日病院に行ったんです」<br />
　北方から戻って二年が経過しようとしていた。<br />
　ツナ缶を選びながら、女は陳列棚の前にしゃがみこんだ。私は、ちょっとだけ悪ふざけのすぎた成人男女にありがちな驚きで、思惑と滑舌が噛み合わなくなった。<br />
　半ば予測できたことでもあったとはいえ、世間的に見て間違いなく不適切な状況に私たちはいた。それでも奇跡的に困惑が生まれなかったのは、気持ちの上では不都合の生じる立ち位置ではなかったからだった。<br />
　じゃあ、と口を開いた。惰性に決着をつける。いやそうではない。焦りではなく、さりとて開き直りでは決してなく、釣り込まれるように口にした二回目のプロポーズが、安っぽい決心に思われそうで、思わず声が裏返る。<br />
「これで君は私の妻になるちゃんとした理由ができたわけだ」<br />
　いざ正式に身を落ち着けるとなると、口調がわずかに落ちる程度の勇気が必要ではあった。だがそれ以上に、『こども』という強引な魔力を持った言葉を前にして、私は去来してやまない熱狂の持続を腹底に押しつけなければならなかった。<br />
　目新しいフレーズは用いず、なおかつ改ざんのしようがないほどざっくばらんで現実的な言葉を選び、私は再度女に求婚をこころみた。<br />
「子供には父親が必要だからな。ひとまず戸籍をちゃんとして、それから必要なものを少しずつ買い足していこう」<br />
　そう言って照れくさくまばたきをして、私は女を立たせ、その手から買い物かごを引き取った。女は頭上の扇風機に前髪を吹かれながら、しばらくぽかんと私の顔を凝視した後、徐々に半端な笑みをもじもじさせて、両腕で自分の腰を抱きしめた。<br />
「すみま……せ、大……っ」<br />
　笑おうと努力しながら、女は今にも崩れそうだった。いいんですか、と。緊張がほとびたらしく、こらえきれずのどを鳴らす。口を押さえる七分袖が肘まで上がって、服と肌の境界線があらわになる。それを眺めて私ひとり、もつれるような舌が急にしっかりしだした。<br />
「なんで謝るんだね中尉。君だけの問題ではないだろう？」<br />
　しかし、――すみません、ありがとうございます、と何度も。<br />
　どこまでも控えめな、音にならない言葉に、私は頭を掻いて単語を探した。ぽろぽろとほとばしる女の水分を指でぬぐって、黄色い頭をかき寄せると、耳たぶの後ろに、温かな女の嗚咽が漏れた。胸を掴み、肩を震わせるそれは、間違いなく時間が経って見えるようになってきたもののひとつだった。<br />
「まったく、これでは嬉しいのか悲しいのかわからんぞ。これから身内が増えるっていうのに、親になる君がそんなことでどうする？」<br />
<br />
<br />
　あれから十数年。中年女性が被るような野暮ったいナイトキャップを無理やり私に被せた彼女は、似合いますよとひとしきり笑うと、内履きの音も高らかに、ぱたりぱたりと階下へ降りていった。<br />
　窓辺に積もる白い屑を見つめているだけで、熱を持ったまなこはたやすくくっついてしまう。カーテンレールには濡らしたタオルが数枚吊るされ、ストーブの上のケトルはしゅんしゅん音を立てている。今年の風邪は頑強だった。この歳になると、病が骨身に染みて仕方ない。<br />
　階下から聞こえる犬の甘えた鼻声、陶器のぶつかる澄んだ音。自分が彼女と積み上げた空間だけに、いざ暗がりに取り残されてしまうと、見知った安堵にたゆたうひとりぼっちの孤独感が、弱った気分を後ろに向かせてしまう。いけないいけないと心を落ち着かせ耳を澄ました。すると、ときおり子供たちの若々しい笑いに、物静かな彼女の声調が混じって聞こえる。――遊んでないでもう寝なさい。お父様が臥せっているからって、こんなに遅くまで。<br />
――遊んでないで、早く書類を片してください。将軍がいらっしゃらないからって、こんなに溜めこんで！<br />
「……変わらんなぁ」<br />
　いたずら半分に被せられたキャップを外してひとりごちた。<br />
　寡黙な彼女の静かな愛情は、ひとつ増えればそのぶん幅を広げ、より濃い密度を伴って、私と私に属するものへ注がれ続ける。<br />
　満たされていた。ただ残念にも、鳶色の目を持つ妻の輪郭を思い出そうとすると、今日ばかりはどうにも頭の芯が霞んでくる。先ほど額に触れた冷たく細い指を、忘れないようにと意識の内に引き寄せて、私は目を閉じた。<br />
<br />
　どれくらいの時が経ったのだろう、うっすらまぶたを上げると、濡れて量の少なくなった髪を梳き終えた彼女が、タオルを持ったままベッドの脇に腰を下ろしていた。上半身をよじりながら私の額に手を合わせ、まだ熱いですね、と溜息をつく。<br />
「氷嚢、もうひとつ用意しておきましょうか」<br />
「いや、氷嚢より水枕がいい」<br />
「わかりました」<br />
　階下へ小走るしなやかで効率のよい後姿は、年を取ってもいささかも変わることがなかった。子供を産んだ女性のまろみが、かえってどことなく全体を丸い印象に仕立てている。<br />
　やがて煉瓦色の物体を携えた彼女が私の枕をゆっくり引き抜くと、片手で私の頭を支え、タオルに包んだそれを手早く差し込んだ。<br />
「どうですか？　氷、ごつごつします？」<br />
　頭を左右に振って、中の動きを確かめた。水と氷の泡立つ音がする。<br />
「いや、大丈夫。気持ちいい」<br />
　でしたら、とひとつ笑った彼女は、ナイトシャツの裾を押さえて背を伸ばし、私の枕元に横たわった本をベッドライトの下へ戻した。<br />
　馴染んだ人気に、病み疲れた恋しさに、私は手を伸ばす。<br />
「おいで」<br />
　目のふちが苦笑を浮かべて。<br />
「失礼します」<br />
　毛布を引き上げ、二人並んだ肩まで被せると、濡れ髪を私と反対方向へ流して顔をすりよせる。私と同じ匂いのする彼女は、普段抱くと二人分を上回るほど温かくなる。だけど今日は発熱の分、私の方に軍配が上がったようだ。<br />
　しばらくして、ぼそりと彼女、<br />
「ベッドがひとつというのも、良し悪しですね」<br />
　もっそり起き上がった彼女は、あおむけた体勢を戻して片肘を枕につき、手の甲で私の熱を確かめる。<br />
「汗がうつりそうです。それにベッドの中もあなたの体も、すごく熱くて」<br />
　確かに毛布の中は、私の湿気で心なしもんやりしている。<br />
「じゃあ、別々にするか？」<br />
　すると彼女は大きく目を見開いて、さも可笑しげに肩をすくめた。<br />
「いまさら別々にしたところで、子供たちが怪しむだけですよ。親父の浮気癖に、いよいよ母さんが愛想つかしたって」<br />
「……それはちょっと困る」<br />
「でしょう？」<br />
　そうくすぐったく微苦笑する彼女の頬には、私とよく似た小さな皺がひとつできた。<br />
　私は熱で少しだけくらくらしながら、半身を起こして彼女を抱きしめた。私よりも冷たく、私よりも小さな足を股に挟み、体のぬくみをまんべんなく彼女に移していく。濡れた頭が、私の頬にぺったりくっついた。<br />
「……こんなときばかり甘えて、もう」<br />
　肩をぽんぽんと叩く手が、いつもより優しい。<br />
　こうやって少しずつ二人だけで生きてきたものの会話に移行するとき、人の笑顔は、歳を経るごとに穏やかに柔らかくほぐれていくものだと思い知らされる。いきおい行動は鈍くなって、日ごろあまり意識しない、優しくしあいたい要素がまんべんなく詰まってくるのだ。<br />
　彼女の鼓動を数える。だけど途中でわからなくなってしまった。<br />
「熱が上がりますよ。もう寝ましょうか？」<br />
「君は熱くないか？」<br />
「いいえ、暖かいです」<br />
　私の前髪をかきあげた彼女は、ゆったりと鳶色を閉じる。<br />
「外は、雪ですから」<br />
<br />
　今はただ、この家の動力源である彼女に風邪がうつらないことだけを祈って。<br />
　私たちは、ふたりで眠りにつく。]]></content>
	</entry>
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		<title>【恋35-25】　スコール　1</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid48.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid48.html</id>
		<issued>2005-12-24T10:54:16+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>※ 短編。ぱつぱつ書き散らした破片たち。【恋35-24】の対極、陰性のお話。***** 「強い男に抱かれるのは、存外あまりいい気分がしないものです」　中毒にならない程度に快感を楽しんだらしい女は、熱く凝（こご）...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>鋼の錬金術師 &gt; 【恋35-25】　スコール</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[※ 短編。ぱつぱつ書き散らした破片たち。【恋35-24】の対極、陰性のお話。<br />
*****<br />
<br />
<br />
<br />
 「強い男に抱かれるのは、存外あまりいい気分がしないものです」<br />
　中毒にならない程度に快感を楽しんだらしい女は、熱く凝（こご）る空気とは明らかに正反対の静けさに身を半分埋ませて、男から排出された液体を服の切れ端で無造作に拭った。<br />
「おいおい、臭いがつくぞ」<br />
「かまいません今さら。状況が状況なんですから、イレギュラーはありでしょう？」<br />
「……そういうもんかね」<br />
「そういうもんです」<br />
　さっぱりしたもんだな、と男は息をついた。なにを期待しているのかと女は思う。<br />
　痴情も、性を共有することによる新たな関係性をもすべて省略して、思いがけない発端から始まった性交はごくあっさり終わった。残ったのはだるい疲労と無駄な空腹。しかし頼みのランタンは油切れで、携帯食料は在り処がわからず、湯浴みできない数週間に溜まった埃は、指でこそぐとよれて細くぽろぽろ落ちる。<br />
　枕辺にはライフルと水のない水筒。不意に、喉が渇いたな、と男は遠い目で。<br />
「我慢してください。給水は朝にならないと」<br />
「わかってる。ただ言っただけだ」<br />
　もぞもぞと這いつくばって、男は女の膝頭に顎を乗せると目をつむった。<br />
　戦闘にもまれる生活は母性本能すら着実に磨耗させ、挿入すら単なる互いの体温の交歓にしかならない。女はその日常夜灯のように覚めた一点を男に見つけ、子供のようだと黒い頭髪に手を伸ばした。瞬間、男は脊髄反射で身を逸らした。動物的な敏捷さに、あっという間に女の乳房が固くなって、あとはもう互いに言質を取ることもせず、転がり落ちるように食んで食まれた。<br />
　濁った体臭は、普段なら相当なものだろう。しかし汗ばんだ白い肢体をぶつけあって、女の乳首を上顎と舌でゆっくり押しつぶすことに一生懸命だった男から、不満が洩らされることは最後までなかった。上に乗らせ下におののき、襞のすべてに男は己を押し付けた。女も生殖を忘れ腰を少し上げて、それに見事に答えてみせた。構いません、きてくださいといかつい首を引き寄せて。<br />
「……上気した顔も悪くないな、君は」<br />
　事を終え顎から上へ口付けのぼる男の第一声に、女は苦笑する。<br />
「人をものみたいに値踏みしないでください。最初で最後の気まぐれです」<br />
「気まぐれだってある種磁場みたいなものだろう。唐突に発生して唐突に収束する」<br />
「性欲を磁場で処理しないでください。貴方には瑣事（さじ）にすぎないことかもしれませんが、大抵の女性の精神構造はそう片付けられないのが普通です」<br />
「所有したがるとか、そういうことか？」<br />
「私にはわかりませんけど、それもあると思います、きっと」<br />
　男は、自他共に認める、誘惑のつけいる隙のない、肉体と精神の持ち主だった。それは男に添って従軍する女も重々承知のことだったし、実際女以外の生物学上女性とみなされる人間達が、こぞって男に寄り従おうと努力するのを横目で承知していた。<br />
「だから、面倒はもうこれきりです」<br />
　ただしひとつだけイレギュラーだったのは、奇跡的にも、女と男の間にだけは実質的な性が介在しなかったことくらいだろうか。<br />
「……面倒とはなんだね面倒とは。そこまでお高いことじゃないだろう」<br />
　辛辣な揶揄にも似た発言に、少しだけ男が憤慨する。ああやはりわかってないと女。自分の身に存在する財産を、こうやって男は無為のうちに蕩尽していくのだと、小さな確証に目を瞑る。<br />
　なにから言葉を開いたらいいのだろう。乳房に伸びてきた手を払いつつ、一瞬悩んで口を開く。<br />
「貴方はわかってないかもしれませんが」<br />
「なにがだね!?」<br />
「女は」<br />
　言いかけて、ひとつ立ち止まる。ふと耳朶のピアスを親指と人差し指で軽く摘まんだ。<br />
「躰（からだ）に男の温度が残るんです。だから強い男の躰に組み敷かれると、この男は同じ吐息を洩らしながら、同じ温かさを他の女にも分け与えたのかしらと、おのずと腐れた気分になります」<br />
　だから、そのときの気分でたやすく触れないでほしい、と。変わらぬ鳶色の真摯さが男を打つ。<br />
　むっくり顔を上げた。<br />
「つまり二番煎じは嫌ということかね？」<br />
「二番煎じと言えてしまう貴方には永遠にわかりませんよ」<br />
　きっぱり切り捨てる女の物言いに、なにを思ったか男はんーとそのまま閉口した。再度顎を腿に乗せ、指は女の溝を覆う淡い金糸をくるくる巻きつけ、引っ張ったりよじったりと怠惰に忙しい。<br />
「……飽きません？」<br />
「飽きるもんか」<br />
　テントの外で砂が鳴る。しばらく遊んで、ところで、と男。<br />
「君は残るのか、その」<br />
　顎を突き上げ横に眺める。視線が交錯した瞬間、女は行為の仕分けを、あの躰の中の爆発を、犬に噛まれたとでも思うことにしようと決めた。そうすれば気分はとても楽になる。<br />
　この男の磁場に捕らわれてはならない。行先不明の感情にもてあそばれたくはない。<br />
　ごそりと音がした。シーツに引っ張られてライフルが動いたのだ。放出の余韻にひたりながら、温かな内腿（うちもも）に手を滑らせる男の手を困ったように見つめて、ひとつ溜息をつくと、虫のように意地悪なその甲を軽くつねった。<br />
「残りますよ、女ですから」<br />
　熱砂に焼けつく朝が近い。<br />
<div align="right"><br />
（2005/07/10）</div><br />
<br />
<br />
<br />
 　私と彼女との間に存在する、躰を繋ぐこと以外のなにかを繋ぎとめるもの。<br />
　たとえばざっくり量り売りする小さな粒胡椒を袋一杯に詰めてもらった時の重たそうな顔とか、炒った向日葵の種をぽりぽりいわせながら斜めに体を傾いで雑誌をめくる姿とか、ちょっとだらしないかなと思えるくらいの甘さが、私にも彼女にも存外似合うことをようやく理解したとき。<br />
　同衾したての夜の闇中、シーツの白さに滲んで浮かんだ、筆で佩（は）いたような艶かしい谷間の影とか、こらえにこらえてから思いきり吐き出した息の生臭さとか、底光りのする生と性を同時に感じさせる瞬間を何度も見つけだしたりしたこと。<br />
　<br />
　その日私たちは天候の良さに甘んじて、途中果汁を瓶で買ったり、あらかじめ持参したバゲットを広げたりしながら、時の経過をしめやかに歩幅と距離に還元させ、散歩にしては長い時間を延々長歩きに費やしていた。<br />
　もともと特に時間の制限がないものだったから、どこかで鳴り出した宵の鐘を耳にとめ、ようやく夕暮れ時だということに気付いたのは、すでに街からずいぶん離れた場所でだった。私と彼女が並んで歩くその横を、山と藁を積んだ荷馬車が右に左に振られながら通る。その後からバスケットを片手に若い男女。すれ違って一瞬、女の穿いたスカートの白さが目端に残った。<br />
「……恋人同士、でしょうか」<br />
　荷馬車の藁くずがところどころ点在する道すがら、そう言って珍しく彼女が視線を外した。言葉に驚き、うん、と私は頷いた。見慣れた白い顔が半分橙色（だいだいいろ）に埋まって、この世界の端役のような若者達を静かに追っている。彼女の前髪の薄い部分から、夕日が透けて私にも落ちていた。<br />
「だろうな。天気もよかったし、おおかたピクニックと称して木陰でいちゃついてたんだろう」<br />
「まったく、下品な言い方しかできないんですか貴方は。そうやって夢を壊すような」<br />
「下品なもんか。男女二人が揃ったら、やることなすこと決まってる」<br />
「貴方の常識には付き合っていられませんよ、もう」<br />
　そこまで言いかけて、笑みを止めた彼女はおもむろに立ち止まった。立ち止まる理由を、私もなんとなく一緒に感じた。合わせて歩を休め、二人ゆるゆる振り返る。すでに点でしかない二人に、肩を寄せ合う小さな粒に、ごくほんのわずかな羨望を寄せて、そうあることのできない面映さを自分たちに重ね、どこか他人行儀な視線で遠く眺め続けた。<br />
　遥か北にそびえる山影が、わずかに夕映えの裾野を遮っている。この先進んでも道はない。<br />
「……そろそろ戻るか」<br />
　はい、と傍らで小さく頷いた。今度は山を背にして歩き出す。<br />
　しばらくして、彼女の足取りが少しずつ遅れだした。私の後ろへ二歩、三歩と間が空いていく。<br />
　しかたなしに、私は彼女の後ろ手からバゲットの残りを入れた袋をやんわり奪って小脇に挟むと、残った片手で彼女の手を引いた。急激に照れた彼女の表情はいつまでたっても半分硬め半分柔らかめで、私はこわくしかまった眉をなんとか和ませようと、ところどころ厚い部分を持つ彼女の皮膚からおとなしやかな肉づきの良さを拾い上げ、指先で揉むように挟んだり開いたりしながら、自分の上着のポケットにしまいこんだ。<br />
　かれこれ経って、やっと口を開く。<br />
「なんだかとても、楽しそうですね」<br />
「ん、そうかね？」<br />
　斜め下から覗きこむ顔に、私は無理矢理笑みをこさえる。<br />
　ポケットの暗がりで指を絡め、たいした会話もなくただ歩いた。歩くことでなんとなく身を寄せ合い、そのままときおりシャツの布地をこすって丘を半分ほど降りると、眼前にちらつく赤茶色の屋根群。ああ、ずいぶん歩いたなと共に一笑。塒（ねぐら）に戻る鳩の大群が頭上を掠め、一瞬かげりが私たちを覆ったかと思うと、屋根群に吸い込まれるように消えていった。<br />
　小半時ばかり歩いたころだろうか。大佐、と細く私を呼ぶ。ん、と私は斜め下を向く。もじりもじりと眼（まなこ）を閉じたり開いたりして、彼女にしては時間をかけてゆっくり顎を向けてきた。<br />
「……私になにか言うこと、ありませんか？」<br />
　言われてはっきり唾を飲んだ。言い出すまでに、何度か躊躇ったりもしたのだろう。見下ろした傍らは覚悟を含み、気負ってもいない、落ち着いた色の鳶色で、ただ実直に私を見上げている。足は道を真っ直ぐ見据え、整った息遣いに乱れがない。<br />
　気持ちの高揚に即した言葉が見当たらなかったのだ。ポケットの中の温かく伝わるものを、私はかつかつと弾いた。言葉を探しながら金の流れをつむじから追って、整った鼻梁を彼女らしいと思いながら、ふくよかな胸の前へ流れる毛束までゆっくり見届ける。そうすることで焦りを抑えた私は、やっとのことで重くなりかけた口を開かせることができた。<br />
　わざと視線を外す。卑怯だと自分でも思う。一呼吸。<br />
「北へ行く。だから来週にはあの家を引き払う」<br />
　言って声だけが妙に冴え冴えしく、風に吹かれた髪が頬にかかって、次第に暗さを増す空の下、ほんのりと柔らかい匂いが私と違う方向へ動いた気配だけがおぼろげに見て取れた。<br />
　黙する空気は、暖かくも冷たくもなかった。鳶色から順に俯いた彼女を目の前に、私の思考は芯になかなか辿りつけないでいた。ポケットの中の指先が収縮した。負けじとその手を握り返す。<br />
「なにか、言うことは？」<br />
　ほとばしった口調は、少しだけ乾いたものだった。しばらく待って、顔を上げた彼女は、とても大粒の水分をこしらえもののように続けざまに落とし、それからいえ、とかろうじて頬を歪めた。<br />
　干し藁の強い匂いがした。この分だと、明日はきっと雨が降る。<br />
　彼女が私の手から己のそれをゆっくり引き抜いた。両手でブラウスの襟元をかき合わせ、帰りましょう、と首を傾げる。温もりを失った私は、ああ、とひとつ頷く。もう、繋ぎとめるものはなにもない。<br />
　寸法のよく似た長い影を引きずって、私たちは期限の定まった空間へ帰途についた。<br />
<div align="right"><br />
（2005/08/06）</div>]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>「60年後のラブレター」　当時こんな企画でした1</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid53.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid53.html</id>
		<issued>2005-11-27T15:19:25+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>◆◆　　（人呼んで）60年後のラブレター in Patlabor　　◆◆　このたびは私のワガママな企画にお付き合い下さりありがとうございました。　2002年3月6日に初めて企画をぶちかました時、正直「企画倒れになるかな...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>機動警察パトレイバー &gt; 60年後のラブレター2002</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[<font color="#aa0000">◆◆　　（人呼んで）60年後のラブレター in Patlabor　　◆◆</font><br />
<br />
<br />
<br />
　このたびは私のワガママな企画にお付き合い下さりありがとうございました。<br />
　2002年3月6日に初めて企画をぶちかました時、正直「企画倒れになるかなあ」と腹をくくり空笑いしておりましたが、蓋を明けてびっくり！　実に20人のご好意溢れる皆様から24通のラブレターをいただきました。<br />
　うわーうわーうわー凄いよぉ、きゃー感動!!　としばし黄色い声を上げさせていただき……。<br />
　改めていまだPATが好きで好きでならない方のなんと多いことか、と驚愕するとともに、PATの素晴らしさを再確認させられた次第です。<br />
<br />
　Webの世界、平素の生活で「PATが好き」とはっきり言えない方の方が多かろうと思われます。もちろん私もその一人ですし、家族の目を盗んでこそこそサイトを更新したりしてますから（笑）。<br />
<br />
　でもここにはこんなにPAT好きな方がいるんだぁ!<br />
<br />
　と感慨に深けること数日。いただいたメールを一番最初に読ませてもらう幸福に浸ることができました。共感できることの幸せ。なかなか味わえることじゃありません。<br />
　嬉しいです。本当に嬉しかったです。なんべんお礼を言っても言い尽くせません。ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました！<br />
<br />
　それでは長々と前書きなんぞ書いても始まりませんので、なにも言わずにただ読んで下さい。<br />
　そしてご感想は、……皆様の胸の内にしまっていただき、ゆっくりと時を味わって下さい。<br />
　　　　ありったけの感謝を込めて　　2002/04/01　吉田萌梨　拝<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#aa0000"> ※　以下は企画発動時の銘文です　↓↓↓</font><br />
<br />
<br />
　流れ過ぎた時をふっと振りかえった時、傍にいる（もしくはすでにこの世にない）自分のパートナーにどんな思いを馳せるものなのでしょう。<br />
<br />
　先日、遅まきながら太田空真編「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?link_code=as2&path=ASIN/4916028813&tag=kimamanisangl-22&camp=247&creative=1211" target="_blank">人生最高のラブレター</a>」という本を読みました。<br />
　仕事に忙しい彼へ送る青春を謳歌するようなメッセージ、戦争で亡くなった夫への挽歌、死に際に会えなかった父への謝辞、それぞれに綴る人の様々に織り成された気持ちが込められていて。恥ずかしい話ではありますが、私は電車の中で涙をこぼしてしまいました（花粉マスクしててよかった！）。<br />
　……で、ふと思ったわけです。60年後パトのキャラ達は時の経過をどう見るのだろう、と。<br />
<br />
　原作で描かれない2課の面々やその後の様子を今までぽつぽつと書いてきましたが、手紙というものは実は初めての試みです。とはいえ私自身なにが書けるかというと、……これまた皆目見当つかないものですから。<br />
　とまれ、小説書きの皆様はじめご来訪いただいているPATファンの方々は、キャラにどんな思いを託すのだろう、というのをとても知りたくなってしまったのです。<br />
<br />
　ということで、上記のテーマで愛あふるるメッセージを募集致します。<br />
　野明×遊馬、後藤×しのぶ、太田×おたけ、榊さん×亡き妻　等どなたでも構いません。思いのたけを、短い手紙に添えて投函するような気持ちで綴って下さい。<br />
　気持ちを言葉にするのは難しい作業です。<br />
　でも長かれ短かれ血の通った温かな思いは、指先を伝わって文字の一つ一つにこめられることだろうと思います。<br />
<br />
　詳細は下記のとおりです。あくまでも私のほのかな欲望ですので、皆様のご好意に甘える形となってしまうこと、お許し下さい。<br />
　皆様のお手紙、お待ちしております。<br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#335588">◆◆　　投稿規程・詳細について　　◆◆<br />
<br />
1 テーマ：<br />
　「60年後のラブレター」　タイトルはお好きなのをお付け下さい。<br />
　タイトル明記の無い方につきましては自動的に上記のテーマがタイトルになります。<br />
<br />
2 設定：<br />
　機動警察パトレイバー内　人間関係においてのカップリング（ただし男女のみに限らせていただきます）<br />
　カップリング組み合わせ不問　オリジナルキャラ（例：シゲさんの未来の奥さん、遊×野の子供等）OK。サイトをお持ちの方は、ご自分のサイト内でのオリキャラ使用OK。視点は男女どちらからでもお好みのままで。<br />
　また60年後には明らかにこの世にはいないだろうと思われるキャラについては年代不問（笑）。<br />
<br />
3 形式：<br />
　<b>小説ではありません</b>ので長い文章はお避け下さい。最大でもtxtにて5KB程度（2500文字位）におさまるようお願い致します。<br />
　短歌・俳句の類でもOK。ひとり数人分何通でも構いません。日本語限定。<br />
<br />
4 送付方法：<br />
　txt形式の添付ファイルにてお送り下さい。メールフォームに直接書きこんで下さっても構いません。<br />
　吉田のメールアドレスをご存知の方は、メール作成の際に必ず「テキスト形式」に変更をお願い致します。送信の際にはお名前（HN可）・メアド・（お持ちの方は）サイトアドレスを必ずご記載下さい（いたずら防止のため）。<br />
　お教えいただきました個人情報は一切非公開。<br />
　当サイト掲載の際に不都合がある方は、お手数ですがメール送信の際にお申し出下さい（匿名希望等／メアドは非公開）<br />
<br />
5 募集期間：<br />
　2002年3月9日（土）0:00〜28日（木）16:00　計20日間　<font color="#aa0000">（※終了しました）</font><br />
<br />
6 掲載日：<br />
　2002年4月1日（月）、2日（火）　<br />
　<font color="#aa0000">（※全公開終了しました。4月3日以後は部分公開／サイトをお持ちの方分は各ご本人様サイトにてご覧下さい）</font><br />
<br />
<br />
7 その他、お願い：<br />
　上記2日間だけ当サイトに掲載をお許し下さい。<br />
　掲載期間以後はサイトをお持ちの方に関しては、この企画ページから貴サイト（トップページ）にリンクを貼らせていただくことも併せてお許しいただけると嬉しいです。<br />
　吉田も稚拙ながら文を2通（1通のみ掲載期間中公開）書かせていただこうと考えております。そちらは投稿下さった皆様へささやかなプレゼントとさせていただきますので、お持ち帰り下さりサイト掲載その他煮るなり焼くなり好きにしていただいて結構です。<br />
　また関連としまして、この「60年後のラブレター in Patlabor」 掲載ページ<br />
　http://sa123.vis.ne.jp/thanks/plan1/plan.htm<font color="#aa0000">（※申し訳ありません、現在は存在しません）</font>へ直リンクを貼って下さっても構いません。<br />
　サイトをお持ちでない方は、引き続き当サイトへの掲載をご希望されますかどうか確認のメールを送らせていただきます。ご検討下されば幸いです。<br />
　普段あまり文を書かれない方、BBSにて温かいご意見を下さる方もどうぞお気軽な気持ちでご参加下さい。<br />
<br />
　吉田のワガママ企画です。手前勝手なお願いばかりで大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。<br />
　パトのキャラ達がどんな思いで手紙に心を託すのか、今から楽しみです。<br />
　　――――　きゃー、企画倒れにならないことを祈る（笑）!<br />
<br />
　　　　2002/03/06　吉田萌梨 <br />
</font>]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>「60年後のラブレター」　当時こんな企画でした2</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid54.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid54.html</id>
		<issued>2005-11-27T15:19:10+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>ご投稿いただきました方々およびカップリング、作品タイトル一覧　　　（あいうえお順／敬称略）　いざわはぼき　※　　（遊馬×野明）　60年後のラブレター　えりー　※　　（太田→太田妻）　妻へ　大神未知流　...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>機動警察パトレイバー &gt; 60年後のラブレター2002</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[ご投稿いただきました方々およびカップリング、作品タイトル一覧<br />
　　　（あいうえお順／敬称略）<br />
<br />
<!--##############　ここから掲載　##############--><br />
　<a href="http://kor.pepper.jp/" target="_blank">いざわはぼき</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　60年後のラブレター<br />
　<a href="http://www.h2.dion.ne.jp/~erk-s/" target="_blank">えりー</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（太田→太田妻）</font>　妻へ<br />
　<a href="http://maebashi.cool.ne.jp/playhorse/" target="_blank">大神未知流</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　いつか還り着く場所<br />
　kaede<br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　60年後のラブレター<br />
　<a href="http://kanno.csidenet.com/" target="_blank">香ん乃</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（熊耳→内海）</font>　「遊び」に殉じたあなたへ<br />
　ぐり子<br />
　　<font color="#d8a323">（後藤×しのぶ）</font>　あなたへ<br />
　しのっち<br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　60年後のラブレター<br />
　<a href="http://souma.cside21.com" target="_blank">相馬刹那</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（野明→後藤）</font>　桜の咲く頃<br />
　<a href="http://www5d.biglobe.ne.jp/~ta-pat/" target="_blank">隆</a>（2作）　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（後藤×しのぶ）</font>　生涯愛する人へ<br />
　　<font color="#d8a323">（後藤×しのぶ）</font>　ラブレターってやつ？<br />
　<a href="http://www61.tok2.com/home/oratorio/" target="_blank">HIRO</a>（2作）　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（太田→野明）</font>　拝啓 泉殿<br />
　　<font color="#d8a323">（野明→野明父）</font>　おとうちゃんへ<br />
　まあゆ<br />
　　<font color="#d8a323">（一驥→さおり）</font>　何年か先のきみへ<br />
　まんまる<br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　桜<br />
　<a href="http://www2.odn.ne.jp/pier/" target="_blank">湊</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　あなたへ<br />
　メモル<br />
　　<font color="#d8a323">（熊耳→内海）</font>　60年後のラブレター<br />
　<a href="http://moe.raindrop.jp/" target="_blank">もえ</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　野明へ<br />
　<a href="http://www5.ocn.ne.jp/~lovenote/" target="_blank">杜河あゆむ</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（真帆子→しのぶ）</font>　最後の勇気</font><br />
　<a href="http://www6.ocn.ne.jp/~alphonse/" target="_blank">弥恵</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（筆者→野明・遊馬）</font>　同じ時代を生きているふたりへ<br />
　夢咲（3作）<br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　誓い<br />
　　<font color="#d8a323">（熊耳→内海）</font>　真実<br />
　　<font color="#d8a323">（後藤×しのぶ）</font>　花言葉<br />
　六花<br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬×野明）</font>　伝えたかったコト<br />
　<a href="http://www3.coara.or.jp/~again_77/" target="_blank">若生紫暮</a>　<font color="#336699">※</font><br />
　　<font color="#d8a323">（遊馬→遊馬母）</font>　無題<br />
　吉田萌梨<br />
　　<font color="#d8a323">（子供→進士夫妻）</font>　<a href="http://hoge.wildtaube.com/_text/sb.cgi?page=2&cid=32">じじばばへ</a>（公開分）<br />
　　<font color="#d8a323">（後藤×しのぶ）</font>　後藤 喜一　様（非公開分）<br />
<br />
<br />
<font color="#336699">（※ ← サイトお持ちの方々／各ご本人サイトにてご覧下さい）</font><br />
　なおHPリンクは、2002年当時の取扱いです。<br />
　現在もパトレイバージャンルをお取扱いされているとは限りません。<br />
　当サイトへご投稿いただきました作品を引き続きご掲載いただけるか、といったご要望、ご意見には、当サイトおよびリンク先サイト様双方ともにお答えいたしかねますので、何卒ご了承ください。]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>じじばばへ ／ 後藤 喜一 様</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid52.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid52.html</id>
		<issued>2005-11-27T14:43:58+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>じじばばへ　あのさ。いきなりなんだけど。　なんの前置きもなく『熟年カップルいらっさいませ』に出ないでくれよ。テレビを目の前にして、俺はご飯を吹いてしまいました。仕事の疲れもぶっ飛んだよ。　しかもあろ...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>機動警察パトレイバー &gt; 60年後のラブレター2002</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[じじばばへ<br />
<br />
<br />
　あのさ。いきなりなんだけど。<br />
　なんの前置きもなく『熟年カップルいらっさいませ』に出ないでくれよ。テレビを目の前にして、俺はご飯を吹いてしまいました。仕事の疲れもぶっ飛んだよ。<br />
　しかもあろうことか「卓也ぁ、見てるぅ？」なんてブラウン管越しに手ぇ振るなっちゅうの。もう俺、二人の子持ちだぞ！<br />
<br />
　あの後近所の人に「お父さんとお母さん、いつまでたっても仲およろしいのね」なんてからかわれてさ。会社の連中にまで！<br />
　かみさんの実家じゃ見てなかったらしくて、「卓也さん、ビデオ撮ってなかったの？」なんて電話来るし。なんて答えていいのやら、俺、わかんなかったじゃないか！<br />
　今度から突拍子もないことする前に必ず！　連絡下さい。よろしく。<br />
<br />
　ま、文句はこのくらいにしておいて。<br />
　夫婦円満、って言葉は親父とお袋の為にあるような言葉だと思います。結婚して初めて思ったのは、夫婦って『海図無き航海』に乗り出すみたいなものだから、開けてびっくり玉手箱みたいな人生の方が、絶対得した気分になると思う。<br />
<br />
　だからと言っちゃなんだけど、親父とお袋、いいコンビだよ。ホント。どこにも負けない。息子の俺が言うんだから、信じて下さい。<br />
　特に親父。定年退職してから笑顔が朗らかになったよね。仕事がつらいとかってんじゃなくて、お袋と一緒にいる時間が増えたからかな、と俺は思いました。<br />
<br />
　ちゃんと定期健康診断受けろよ。病気は早期発見・早期治療が第一だから。<br />
　バランスの取れた食事をきちんと取れよ。偏食なんかもっての他。食事後は三十分位歩くと良いらしいぞ。<br />
　あと、一日一個林檎を食うと高血圧防止になるってさ。息子の検診で病院に行った時、壁に張り紙してるのを見かけました。だからと言っちゃぁなんですが、丁度かみさんちから林檎を山程送ってきたので、少しダンボールに入れといた。結構美味いぞ。ちゃんと食えよ。<br />
<br />
<br />
―― なかなか会いに行けなくてごめん。次の休みには帰ります。<br />
それまで元気で。 <br />
<br />
<br />
<div align="right"><br />
パトレイバー「60年後のラブレター」企画へ掲載<br />
（※参加者および閲覧者の方々へ御礼／吉田公開分／2002年4月1日、2日 ）<br />
設定：子供 → 進士夫妻</div><br />
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<br />
後藤 喜一　様<br />
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<br />
　昨日洗面所を掃除してて、絡まったあなたの髪の毛を見つけました。年の割に黒々としたやつ。いつの間に詰まってたのでしょう。　わたし、全然気づかなかった。<br />
　そのままにもしとけないので台所から割り箸を持ってきて、汚いヘドロと一緒に取って捨てました。<br />
<br />
　ふと思い出したので、今だから告白します。<br />
　ホントはね、最初あなたの柄パンとわたしの下着、一緒に洗うのに抵抗あったの。ああ、イヤだなー、男モノだなーって。人差し指と親指で汚いもの掴むようにして恐る恐る洗濯機に入れたおぼえがあります。慣れてみちゃえば大したことないんだけど。可笑しいでしょ。<br />
<br />
　それとね。しのぶさんは看取る方と看取られる方、どっちがいい、なんてあなたが言い出した時、正直心臓がひっくり返るかと思いました。<br />
　残してくと家に黴が生えそうだから、看取る方がいいわ、整理もしなきゃだし、なんて誤魔化したけど、ふうん、って言ってあなたはそのまま寝ちゃったわよね。<br />
　わたし、あの時瞬間的にあなたの顔の前に手を当てたのよ。息をしてるかしら、って。てのひらに当たる風を確認して妙にほっとしたの。だってあんまり静かに寝ちゃうんですもの。怖いぐらいに。<br />
　でも、……嘘が下手だし、きっとあなたは自分のこと、知ってたのでしょうね。<br />
　いつも、いつでも全てお見通しの人だから。<br />
<br />
<br />
　やっとこう書けるようになっただけ、落ち着いたのでしょうか。<br />
　相変らずわたしはあなたが言うところの『生真面目』な生活を送ってます。ようやっと部屋の片付けもほとんど終わったので、母を見舞いに行ったり若干バタバタしてるけど。<br />
　母の容態は相変らずです。良くもなく悪くもなく。あまり遠くない将来、わたしが看取ってあげなきゃかしらと覚悟を決める時期にきている気がします。でも本心を言えば、置いてかれちゃうのはもう嫌なんです。ひとりぼっちは好きではありません。あなたは気づいてたでしょうか？<br />
　まあ置いてったら置いてったで違う意味での心配もありますが。<br />
<br />
　あるべきところにあるものがないのって、ふっと寂しさを感じるものです。<br />
　わたしはまだあなたの座椅子を捨てることができません。誰かさんがあんまり寄り掛かるものだから、背もたれが抜けちゃって凹んだ、使い物にならないボロですが。<br />
　捨てるのはいつでもできることなので、ほとぼりが冷めるまでこのままにしておこうと思い直しました。<br />
<br />
　そうそう、こないだツルゲーネフの『父と子』を読んでいて、こんな言葉がありました。<br />
　――　時の過ぎるのが早いか遅いか、それに気づくこともないような時期に人はとりわけて幸福なのである。<br />
　本当にそのとおり。先人は偉大です。<br />
<br />
　一度だけ謝ります。たくさん小言を言ってごめんなさいね。<br />
　　　しのぶ <br />
<br />
<br />
<div align="right"><br />
パトレイバー「60年後のラブレター」企画へ掲載<br />
（※参加者の方々へ御礼／吉田非公開分／2002年4月1日、2日 ）<br />
設定：しのぶ → 後藤</div>]]></content>
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		<title>ラーゼフォン概要</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid14.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid14.html</id>
		<issued>2005-11-09T13:12:32+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>　壮大なドラマを予感させるかのようなマイスタージンガー（※ ワーグナー作曲『ニュルンベルグのマイスタージンガー』前奏曲）。航空母艦から戦闘機が出撃し、神々しいまでの夕焼に染められたブリッジでは司令官...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>Rahxephon &gt; *** 考察</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[　壮大なドラマを予感させるかのようなマイスタージンガー（※ ワーグナー作曲『ニュルンベルグのマイスタージンガー』前奏曲）。航空母艦から戦闘機が出撃し、神々しいまでの夕焼に染められたブリッジでは司令官らしき人物が俯き加減にゆったりと微笑む。世界の広がりを感じさせるオープニングの華麗さ、戦闘シーンなのに見惚れる程の美しさ。暫し目を奪われる壮麗なワンシーンから、この物語は幕を開く。<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4840105987/ref=ase_kimamanisangl-22/249-8266490-7681116" target="_blank"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/4840105987.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="ラーゼフォン〈1〉" class="amazon_pict" align="right" /></a><br />
　時は21世紀初頭。謎の侵入者MU（ムウ）によって滅亡の危機にさらされた人類は、MU支配下の東京を中心としてTOKYO JUPITER（トーキョー・ジュピター）と呼ばれる半円形の膜に被われた空間と、それ以外の外部世界とに隔てられ、しかも双方間には12年もの時差を生じつつ、依然膠着状態が続いていた。<br />
　TOKYO JUPITER内の住民は世界が滅亡したと教えられ、ごく一部を除きそんな事実を誰も知らない。母と二人暮しの高校生・神名綾人（かみな あやと）もその一人であった。<br />
<br />
　ある朝、綾人は模試会場に向かう途中、謎の編隊の攻撃に遭遇する。「インベーダーの来襲」と政府機関は報道を流し、人々は地下防空壕へと雪崩れ込む。その人波に逆らい、崩れ落ちた地下鉄から這い出て助けを求めに飛び出す綾人。そこは既に軍が投入され、目の前で轟音を立てて戦闘機が頭上を駆け巡っていた。<br />
<br />
　破壊された街に呆然とする綾人。そこで出会ったのは、混乱の最中どこか超然と遠くを見つめるクラスメイト美嶋玲香（みしま れいか）。彼女を伴ない再び地下鉄構内へ逃げていき、何故自分を拉致しようとするのかわからないまま、謎の公安と目される黒男集団の手を逃れ列車に飛び込むが、瞬時に車両は装甲をまとい閉鎖空間に。<br />
　終着駅は世音神殿（ぜふぉんしんでん）。見たことも聞いたこともない名前。その中心には巨大な卵が据えられ、綾人ははからずも巨大な人型の存在「ラーゼフォン」が出現する瞬間に巡り合わせることになる ――<br />
<br />
<br />
<br />
　混乱しやすい第1楽章（※ 『ラーゼフォン』では第1章、第1話などの名称の代りに、音楽用語の『楽章』という単位が使用されている。他にも音楽用語が多用されているので注意）のあらすじはこのような感じです。読んでいただくとおわかりですが、この物語の主人公は神名 綾人クン。が、残念ながら当サイトのメイン人物とはならないところにご注意を。<br />
　17歳の高校生、突然目まぐるしく変わる世界と自分についていけず、時にやさぐれてもみたりと感受性の強い絵描き少年。だが彼を（損得勘定ある無しに拘わらず）フォローし続ける紫東遙（しとう はるか）や恵（めぐみ）の姉妹をはじめとする対MU戦略研究機関TERRA（以下TERRA）の面々、敵方MUの幹部と目される綾人の母麻弥（まや）と旧友達、彼らが流す青い血の正体。謎の少女久遠（くおん）が紡ぐ不可思議な言葉。予期せぬ場所に不意に現れる玲香。痛みを伴なう過去との交差。決別。ドーレム。歌声。調律。そして綾人を奏者（※ 操縦者）とする最大の不思議物体（？）ラーゼフォン。<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4840107440/ref=ase_kimamanisangl-22/249-8266490-7681116" target="_blank"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/4840107440.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="画集ラーゼフォン ― オフィシャルイラストコレクション" class="amazon_pict" align="left" /></a>　プラスこれまた一種の伏線じみて流れるダッタン人の踊り（※ ボロディン作曲 歌劇『イーゴリ公』よりダッタン人の踊り）が雰囲気を醸し出し耳に残る素材と言えるでしょう。<br />
<br />
　謎が謎を呼び、歯車のように噛み合って数々の伏線を作っていくため、茶でも手に腰を据えて見ないと「あれ？」てなことにもなりかねない。目覚めた綾人の本当の使命とは？　がこの作品の主軸。間に挟まる脇キャラのエピソードや人間関係が縦に横に織り組まれ、通して一度見するよりも、全楽章見終えてからこの作品に関するサイトなり小説なりを読み返していただくと、理解が深くなることと思います。<br />
　いや、贔屓目を除いても、そうしていただいた方が味が出て楽しめる作品かもしれないとあえて言及します。ええ。するめのように。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　で。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの作品は某アニメに類似という寸評を幾多受けたことでも有名です（某掲示板では事ある毎散々叩かれていたよう）。ただ、私自身その話を知識程度に知ってはいましたが、それでもなお両方鑑賞した後の恣意的解釈としては「別物じゃないの」といった印象。全く一緒にするのは両作品に失礼だと思われてならない。<br />
　いや似てない、とは言わない。似てる部分もあるのは事実だと思う。まあ作品自体の帰結するところが明らかに異なるので、これはこれで一線を引かなければならないのでは、ということなのです。それと人間関係（男女関係）の雑多さもですかね。<br />
　某アニメの試みが当時斬新だった故の賞賛であると仮定して、もしラーゼフォンがその当時某アニメに先んじて放映されてれば、同じように別の斬新さという意味で受け入れられたのではないでしょうか。これもあくまでも個人概念ですけれど。<br />
<br />
<br />
　そんな感じで面白かったですラーゼフォン。出渕先生と皆様バンザイ。 ]]></content>
	</entry>
	<entry>
		<title>人：八雲総一</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid15.html" />
		<id>http://hoge.wildtaube.com/txt/log/eid15.html</id>
		<issued>2005-11-08T19:27:20+09:00</issued>
		<modified></modified>
		<summary>　貴公子然とした策士。彼を一言で評するなら、こう言うのが妥当であろう。八雲 総一（やぐも そういち）[CV:宮田 幸季]、若干22歳にしてTERRAの戦略作戦副司令・少佐。このサイトでのメイン人物である。　初見は...</summary>
		<author>
			<name>M.Yoshida</name>
		</author>
		<dc:subject>Rahxephon &gt; *** 考察</dc:subject>
		<content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="ja"><![CDATA[　貴公子然とした策士。彼を一言で評するなら、こう言うのが妥当であろう。<br />
<br />
八雲 総一（やぐも そういち）[CV:宮田 幸季]、若干22歳にしてTERRAの戦略作戦副司令・少佐。このサイトでのメイン人物である。<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007B8WJ/ref=ase_kimamanisangl-22/249-8266490-7681116" target="_blank"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B00007B8WJ.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="ラーゼフォン 第8巻" class="amazon_pict" align="left" /></a>　初見は年相応に見えない童顔とも思えるマスクに、常に笑顔を絶やさず、誰に対しても物腰柔らか。自然周囲に敵をつくり難い、一見人の良い気さくなお兄さんタイプ。が、実は『猫の皮を被った虎』。彼が絶対的な信頼を寄せる上司・功刀仁（くぬぎ じん）の危急の際は、その知略を小気味良い程に発揮し相手を陥れた。柔軟な対応と臨機応変に即した判断力を併せ持つ、一筋縄ではいかない人物。<br />
<br />
　とここまで書くと、ブラッキーなイメージを持たれる方が多いと思われるが、それなりに年相応の茶目っ気もあって、敵に回さなければ人畜無害（多分）。TERRA長官・亘理士郎（わたりしろう）からの土産（かわらけ饅頭だっけ？）を食い歩きながら配ったり（第7楽章）、元旦出勤に一人羽織袴を着用したり（第9楽章）、功刀の帰還に、満面の笑みでもって迎える様子を部下である四方田・五味両オペレーターズにあげ足を取られたり（第23楽章）、時にウィットに富んで人間らしい温かみもある。<br />
　だがそんな彼をよく見ていると、全てを超越したように、常に何事にも深入りせず、常に第三者であり続けようとしているような素振りが見られる。そして思わぬところで落とされる達観ぶりに、年齢不相応な成熟性が覗われる。<br />
<br />
　例えばその片鱗として、自分からMUフェイズ（※ ムーリアン反応）が出たことを知り、裏切られた被害者気分＆自暴自棄気味な綾人を「人は、人と繋がってるんだ。僕がここに居られるのもそうさ。だから、君もここに居ていいんだ（第14楽章）」と慰め、最終楽章で「僕も君と同じだったんだ。普通に接してくれる人がいたから、僕は人と繋がっていると感じられたんだ。君にも、いるだろ？」と問いかける。この言葉の示唆するところは何か。―― 経験は人を大人にする。故に、もしかしたら、彼もかつて「人との繋がり」を認める場面があったのではないだろうかとくるわけだ。<br />
<br />
　恐らくその根源は、十中八九語られることのない過去が起因するものと推測される。もしくは明晰なる頭脳ゆえの孤独からか。どちらにしてもそれらは明確ではないにしろ、軍属理由も含め（＝TERRAに入ったこと）どうやら功刀が大きく関与しているらしい。小説版でキムが功刀を『総ちゃんの恩人』と認めているような口調があったり、第23楽章の言動からも総ちゃんが功刀の過去を知りつつ、気持ちの寄りしろにしているような様子もみられるし。第一過大な程に寄せる信頼と共に、ヘタすりゃ親子ほどに年の離れた上司と「功刀さん」「総一」だぞ。吉田からすればこれまた非常に不思議なんだよな。<br />
<br />
　結局TVシリーズ含め全メディア内で、八雲副司令の過去が明確に表現されることはなかった。推測するに、隠された過去もまた功刀との師弟・擬似親子関係に類似したキーワードと化して、総ちゃんの存在意義と精神活動に関与する伏線。彼を孤独から繋ぎとめたものは功刀とキム。そう思うと、いわば彼にとって、過去を内包した上に成り立っている現在が全てなのかもしれない。それを知ってるのは当の本人達とやはりキム。証明するかのように、小説5 巻で功刀殉職の際「あなたはぼくの父であり、師でした」と慟哭の涙を流す八雲がいる。<br />
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　年不相応な程に深い洞察力で、自分に与えられた責務を全うし、たおやかな笑みでバランス調整を図る。自分を「人を張り飛ばすこともできない、情けない」と評しながら、その能力はずば抜けて鋭く、許容量は底抜けに広い。根本に芯を持った男。だが若干女性関係には疎いけど（笑）。口に蜜あり腹に剣あり、キム評「おじいちゃんみたい（小説版）」は言い得て妙。上手いぞ（精神年齢幾つだ？）。<br />
　八雲 総一、彼はやはり掴みどころのない魅力を持つ人物であるといえよう。―― 何だかホメ殺しコメントでゴメン。<br />
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　■ 八雲総一 ／ TERRA新司令、少佐、女たらし、生命を操る八つの玉、童顔童声の鬼畜策士（某掲示板）<br />
<br />
　……う〜ん。 ]]></content>
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